大会長挨拶

日本ラクトフェリン学会第10回学術集会の開催ご案内

ラクトフェリンはミルクに含まれる鉄結合性の糖タンパク質であり、自然免疫で機能する可溶性因子です。免疫賦活、抗菌、抗炎症作用はもちろんのこと、近年では骨代謝改善、脂質代謝改善、抗がん、神経保護など様々な作用が発見され、ラクトフェリンは多機能性生理活性タンパク質として注目されています。ミルクに含まれる因子ということで、食品(サプリメント)としての開発が先行しておりますが、様々な生理作用を示すことから、今後は医薬品としての応用が期待されております。

ラクトフェリンは多機能性タンパク質であるため、その機能解析を進め、有効活用を図るためには、医学、歯学、薬学、農学など幅広い分野の研究者、さらに、研究成果の実用化、事業化には、アカデミアと産業界との交流が不可欠であります。このため、2004年に「ラクトフェリンフォーラム」が設立され、2010年からは「ラクトフェリンフォーラム」を「日本ラクトフェリン学会」に発展的に改組し、その交流の場として、これまでに学術集会を隔年で開催してきました。

2022年の第10回学術集会は、10月15日(土)に東京工科大学、八王子キャンパスで開催いたします。本学術集会では、「ラクトフェリンの可能性を信じて」というキャッチフレーズを掲げ、様々な議論を展開したいと考えています。ラクトフェリンは、種々の生理活性を有するにも関わらず、未だバイオ医薬品としての上市はなされておりません。本学術集会では、「バイオ医薬品としてのラクトフェリンの展開」をテーマとしたシンポジウムを企画しており、特に医薬品としての展開に着目して、その可能性と問題点を議論いたします。また、新たな分野の研究を含め、最新の研究成果の発表の場として一般演題を募集し、この中から学会賞の選考を行い、受賞者の顕彰を行うことで、次世代のラクトフェリン研究者の育成を目指します。

開催地となる東京都八王子市は、東京ではありますが、大変緑に恵まれた自然豊かな場所であります。この都会の喧騒から少し離れた場所で、ラクトフェリンについてゆったりと語り、皆様との交流を深めたいと思います。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

日本ラクトフェリン学会第10回学術集会
実行委員長 佐藤 淳
(東京工科大学大学院、バイオ・情報メディア研究科長、教授)