日本ラクトフェリン学会第9回学術集会の
開催ご案内

拝啓、時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

日頃より当学会の学術活動にご尽力戴きまして、心より御礼申し上げます。

2020年は、日本にとってオリンピックの開催が予定され、世界各国から人々をお迎えする記念すべき年になるはずでしたが、ご承知の通り新型コロナウイル(COVID-19)感染が世界中に蔓延し、日本もその脅威にさらされ続ける年になりました。この影響は学術集会の開催にも暗い影を落とし、様々な学会で対面式の学術集会がオンライン配信による学術集会へと変更を余儀なくされています。第9回学術集会は2020年12月6日に岩手県盛岡市にて開催予定でしたが、このCOVID-19の広がりを受けてオンライン配信に変更することを決断致しました。日本ラクトフェリン学会のこれまでの歩みの中で初めての経験であり、対面式の時のように自由活発な質疑応答と休憩時間のアイディア交換などが十分出来るのかどうか不安は多々ありますが、社会全体が「withコロナ」の生活に変革を迫られているという現実もあり、オンライン配信による学術集会を新しい取り組みとして前向きに捉え、ラクトフェリンに興味のある方々が実際移動しなくても多くの学術情報が得られるよう取り組むことに致しました。

 今回のオンラインによる学術集会では、その利点を活かして緊急企画として、「COVID-19感染症とラクトフェリン」についてアメリカ・ミシガン大学のDr. Jonathan Sextonに基調講演をお願いすることにしました。ラクトフェリンがCOVID-19感染症に及ぼす影響について現在までにわかっている研究成果を話して戴き、オンラインでの活発な質疑応答ができるように企画しております。

また、基調講演のもう一つの話題として、「災害大国日本における横紋筋融解症AKIとラクトフェリン」について慶応義塾大学の平橋順一先生に講演して戴きます。阪神大震災や東日本大震災、熊本大地震などが繰り返し起こる災害列島日本において問題となるクラッシュシンドロームによる急性腎障害にラクトフェリンが有効であり、マクロファージのクロマチン線維放出を抑制することで、横紋筋融解症による急性の腎障害を抑制できるという新たな可能性について解説して戴きます。

また、シンポジウムでは新たな可能性が示唆されている「ラクトフェリンと脳機能」について焦点をしぼり、医学領域だけでなく国内の基礎から臨床の分野の幅広い領域の第1線でご活躍されている研究者による発表を通して、この分野の最新情報を共有させて戴きます。

そして、長きにわたってラクトフェリンの製品開発と研究にご尽力戴いている冨田 守先生に「ラクトフェリンの製法と品質管理について」ご講演をいただき、また、鹿児島大学の藤田清貴先生には「ラクトフェリンのAsn-糖鎖のプレバイオティックス作用とビフィズス菌の糖取り込みと代謝」について特別講演をして戴きます。

末筆にておそれいりますが、会員の皆様におかれましては、ご自愛のほど何卒宜しくお願い申し上げます。

敬具

2020年8月20日

日本ラクトフェリン学会第9回学術集会
大会長  佐藤れえ子
(岩手大学名誉教授)

実行委員長 小林沙織
(岩手大学共同獣医学科 助教)