大会長挨拶

日本ラクトフェリン学会第11回学術集会の開催ご案内

ラクトフェリンはミルクに含まれる鉄結合性の糖タンパク質であり、自然免疫として機能する可溶性因子です。免疫賦活、抗菌、抗炎症作用をはじめ、近年では骨代謝改善、脂質代謝改善、抗がん、神経保護など様々な作用が発見され、多機能性生理活性タンパク質として注目されています。本質的には母乳に含まれる活性物質として乳児への作用が挙げられますが、多機能タンパク質の特性を生かして食品(サプリメント)としての開発も進められております。
多機能であるが故に、ラクトフェリンの機能解析には、医学、歯学、薬学、農学など幅広い分野の研究者、さらに、研究成果の実用化には産業界も深く関わっております。このため、2004年に「ラクトフェリンフォーラム」が設立され、2010年からは「日本ラクトフェリン学会」へと発展的に改組し、その学術交流の場として、隔年で学術集会を開催してきました。
2024年の第11回学術集会は11月9日(土)に、とりぎん文化会館(鳥取市)で開催いたします。本学術集会では、「ラクトフェリンがつなぐ架け橋」をテーマに掲げ、母と子の関わりのみならず、人と人、人と動物、さらには国境を越えて様々な形で「絆」としての存在感を増しておりますラクトフェリンについて議論を深めたいと考えております。特別講演では、イタリアからPaolo Manzoni先生をお招きし、小児感染症への臨床応用に関するご講演を予定しております。またシンポジウムでは、「ラクトフェリンの多様性」と題し、単独のタンパク質でありながら、体内環境の変化に応じて異なる活性を発揮するラクトフェリンの素顔に迫れることを期待しております。さらに、最新の研究成果の発表の場として一般演題を募集いたします。
開催地となる鳥取市は、山陰海岸国立公園など自然豊かな場所であり、新鮮な海の幸を堪能できることも特徴です。この機会に、都会の喧騒から離れた場所で、ラクトフェリンについて語り合い、皆様との交流を深めることができますと幸いに存じます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

日本ラクトフェリン学会第11回学術集会
大会長 竹内 崇(鳥取大学農学部共同獣医学科、教授)