ラクトフェリンとは

ラクトフェリンとは?

ラクトフェリンは乳や、涙、唾液、血液などに存在する感染防御機能をもったタンパク質です。

図 ヒト・ラクトフェリンの構造(NCBIデータ1CB6よりCn3D 4.1で作成)
図 ヒト・ラクトフェリンの構造(NCBIデータ1CB6よりCn3D 4.1で作成)

ラクトフェリンは多くの哺乳動物の乳に含まれており、ヒトの母乳、特に出産後数日の間に多く分泌される初乳に最も多く含まれているおり、赤ちゃんの健康維持のために必要な成分であると考えられております。また、母乳以外にも唾液や涙、鼻汁など体内の外分泌液、粘膜液、白血球の一種である好中球に存在し、外部から進入する細菌やウイルスからの攻撃を防ぐ防御因子のひとつと考えられています。

ヒトの初乳(出産後5日目ごろまでの母乳)には100ml当たり約600mg、常乳(出産後3週間以降の母乳)では約200mgのラクトフェリンが含まれています。
また、ラクトフェリンは殺菌される前の牛乳(以下、生乳といいます)の中にも存在しています。生乳も牛の赤ちゃんを育てるための乳ですので、ラクトフェリンが含まれているのです。しかし、生乳のラクトフェリン濃度はヒトの母乳の10分の1程度ですので、ヒトの母乳中のラクトフェリンは非常に多いことが分かります。

ラクトフェリンの主な働き

ラクトフェリンにはさまざまな生理機能が報告されています。

ラクトフェリンは、1939年にデンマークの科学者によって発見されました。成分名は、ラクト=ミルク、フェリン=鉄と結合に由来して名付けられたといわれています。鉄と結合しやすい特性から赤みがかった色をしているため“牛乳の赤いたんぱく質”とも呼ばれていました。
これまで世界各国での研究により、ラクトフェリンのさまざまな生理機能が明らかにされています。生体防御に重要な役割を果たす物質として注目されています。
その他、ビフィズス菌の増殖、鉄結合能と関連する鉄吸収調節、抗炎症作用、脂質代謝改善作用などの健康を維持・増進する作用が知られています。

【表】ラクトフェリンの主な生理機能(動物実験で得られた結果を含む)

生理作用 研究報告
生体防御作用 免疫調節作用 発がん予防、感染防御
抗菌・抗ウイルス活性 ピロリ菌や歯周病菌の抑制
健康を維持・増進する作用 ビフィズス菌増殖促進作用 腸内のビフィズス菌を増やし、腸内細菌のバランスを整える
鉄吸収調節作用 貧血の改善
抗炎症作用 関節炎、大腸炎の改善
脂質代謝改善作用 内臓脂肪の低減