理事長あいさつ

新しいステージを迎えたラクトフェリン研究

島阜h一(北海道大学名誉教授)

クトフェリンフォーラムが改組して2010年にラクトフェリン学会が発足し、今年(2016年)で6年となります。「ラクトフェリン」を唯一のキーワードとした小さな学術団体ですが、会員数も徐々に増え、また社会におけるラクトフェリンの知名度も以前とは比較にならないほどに高くなってきました。さらに2015年11月には第12回ラクトフェリン国際会議が津田先生の主催で名古屋で開催されました。国内外から150名以上の参加者を集め、ラクトフェリンの応用研究ならびに基礎研究における幅広い進展を示すとともに、ラクトフェリン研究は新しいステージに入ってきたことを印象付けました

 過去の科学技術の歴史を振り返ってみますと、熱力学から蒸気機関が生まれたのではなく、逆に蒸気機関が先に発明されて熱力学の理論が発展したと言われております。ラクトフェリン研究も似た経過を辿ってきたのではないでしょうか。ラクトフェリンの生物機能の多様性とさまざまな応用例を知って何故そうなるのかを研究する動機となり、現在はラクトフェリンについての基礎研究が応用研究をさらに加速させるという好ましい循環が起きている状況にあると感じております。

 関連する情報提供の場としてラクトフェリン学会が今後とも皆さまのお力になれれば幸いです。